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腰痛診療ガイドライン2019

最新版(2019)の腰痛診療ガイドラインが発表されました。

 

<監修>日本整形外科学会 日本腰痛学会

 

 

4年に一回の頻度で更新されています。

 

分かりやすく簡単にまとめます。

 

 

・急性腰痛/慢性腰痛には活動の維持(運動療法)が有効である

 

・レッドフラッグ(危険な症状)がなければ画像診断は必ずしも必要ない

 

・急性腰痛には非ステロイド性抗消炎薬が有効である

 

・アセトアミノフェン(イブ、バファリン、カロナールなど)は慢性急性どちらにも有効ではない

 

・コルセットは機能改善には限局した効果はあるが、鎮痛や予防の効果はない

 

・温熱療法は短期的には効果がある

 

・牽引療法は効果がない

 

・マッサージには短期的には効果があるが長期的には効果はない

 

・腰痛には心理社会的因子(ストレスなど)が大きく関わる

 

・腰痛の発症と職業に関連は低い

 

・鍼や徒手療法は評価が困難である

 

 

大まかにはこの様な感じです。

 

大きく変わったのは、病院を受診した際の診察です。内臓由来など病的な腰痛を問診などでスクリーニングし、必要に応じて画像検査を行うということです。今までは、診察を受ける前にレントゲン検査を受けることが通例でしたが、これを否定しています。特に高齢者の方は画像診断結果と症状のズレが大きく、過度に心配させることで回復が遅れる可能性が指摘されています。医療費の抑制など政治社会的背景も色濃く反映されています。

 

もう一つは代替医療への評価です。鍼・マッサージ・カイロプラクティック・整体などは質の高い論文やデータが少ないので良くも悪くも分からない、としています。法的制度が整備されていない日本ではデータが上がってくることは困難であり、代替医療という非常に大まかなくくりではなおさら評価は難しいでしょう。鍼にもカイロプラクティックにも様々な理論やテクニックが存在します。欧米ではカイロプラクティックや鍼治療は正式に法整備されており、有効性も確認され、薬一辺倒だった腰痛治療に大きな光を与えていることは事実です。法の整備というとても大きな壁はありますが、崩壊寸前の国民皆保険を少しでも維持する為にも、代替医療の有効活用は必要であると考えます。

 

もう一つ。

 

西洋医学最新の治療でも腰痛は治せません。唯一治すことが出来るのは”自分自身”です。風邪と同じで、薬で治しているのでは無く、抑えているうちに自分で治しているのです。ですから、薬物療法や運動療法や代替医療を同じ観点で論じることは意味があまりありません。目的や理論が違います。

 

最後に、

 

薬物療法・代替医療・物理療法などは運動療法(歩くことから)を実行するための準備・ケアであると認識し、活動的な日常を最終目標に頑張ってください。