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時代遅れのスポーツ指導現場

ウサインボルト選手のアクティベータメソッドケア

ウサインボルト選手がアクティベータメソッドを受けている写真です

世界有数の医療大国であるはずの日本。しかし、スポーツ医学やトレーニングの先進性は欧米に比べはるかに遅れています。

 

近年、若い世代の日本人アスリートが世界を驚かす様な成績を残すことがあります。しかしよく耳にするのは、幼少期から海外に移住しトレーニングを受けていたり、学生の頃から留学していたという話です。もちろん競技レベルの高い環境に揉まれることが最初の目的ですが、大半の選手が帰国時に話すのは日本との練習環境やケアの考え方のレベルの差です。ここが最も大きな収穫であったのは言うまでも有りません。しかし、誰しもがその様な恵まれた環境にある訳ではありません。

 

海外のプロスポーツに興味がある方は知っている言葉でしょうが”インジュリーリスト”というのがあります。当然日本でも同じような制度があり”故障者リスト”と言われています。

 

しかしこの”故障者”という日本語訳に違和感を覚えるのです。人間は機械(ロボット)ではありません。”injury”とは‟怪我・外傷・損傷”というのが本来の意味です。

 

アメリカなどのプロスポーツでは、選手がチームと契約した以上、選手の身体のケアはチームが責任を負います。ですから、選手が勝手なトレーニングをしたり、間違ったケアを受けることを禁止しています。怪我をした場合の現場復帰のハードルは日本と比べ物にならない程高く設定されています。怪我を繰り返さない為には当然の手段です。

 

では日本ではどうでしょうか?

 

故障者という言葉に表されるように、人の身体をロボットの様にとらえているのです。ある部分が壊れたらその部分を取り換えればいい。だめなら代わりのロボットを使えばいいといった具合です。

 

もっと長い時間練習しないと勝てない、休みは身体がなまるから取らない方がいい、ひたすら厳しい反復練習をして自信をつけよう、少々痛くてもテーピングで補強して頑張ろう。という非科学的な信仰が未だに現場は大勢を占めているから驚きです!この方法で強くなるのはある一定レベルまでです。トップレベルにはなりませんし、トップレベルの選手やチームはこの様な方法はとっていません。いかに短時間で効率良く練習するか、どのタイミングで活動強度をコントロールするか、試合にピークを持ってくるにはいつ休むのがいいか、ケアはどの様なものがいいか。これらを監督やコーチ、トレーナーが共通認識の下選手に浸透させます。

 

はっきり言います!よほどのレベルの環境で無ければ、コーチや監督はあなたの身体は守ってくれません!

 

悲しいことですが、あなたがプレー出来なくても代わりがいます。小学生なら中学生、中学生なら高校生に向けて…なんて監督に考えて貰えません。今、試合に勝つこと。それだけです。

 

もし、今のスポーツを少しでも長く続けたい、もっと高いレベルで活躍したいと思うなら今からでも遅くありません。考え方を変える努力をして下さい。これはスポーツをしている本人だけだなく、保護者の方も同じです。幼少期から勝つことだけにこだわっていては、尻つぼみの選手生活になってしまうのは明らかです。

 

先に述べたように、人間の身体はロボットではありませんし、故障した箇所さえ修理すればOK、なんて簡単なものでもありません。脳~神経~筋肉~骨といった精密なネットワークにより身体は保たれています。

 

日本のスポーツ医学が遅れた最大の理由は、幼少期からの指導者の知識不足に他なりません。選手にケアの重要性が伝わらず、選手自身も知識が無いためスポーツ医学に関心が薄いのです。もちろんその様なニーズが沢山無ければその分野は発展しないのです。最近は、スポーツ先進国の技術を学び日本で還元している指導者も増えてきてはいますが、まだまだごく少数です。

 

現状、指導者にこれらの知識をすぐ認識してもらうことは困難です。だからこそ選手自身が身体を守るすべを知り、もっと長い目で将来的な活躍を目指し、またそれを次の世代に還元するといった良いスパイラルが生まれることを期待してやみません。