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ゴッドハンド?

最近の流行りである「動かしながら治す!」「「一回の施術で痛みを無くす!」という言葉。とても聞こえがいいです。凄い!ゴッドハンド!と感じる方もいるでしょう。

 

これを謳い文句に宣伝している整骨院なども沢山見かけるようになりました。最新の研究でも、負傷後でもなるべく早期に動かした方が回復が早いとのデータを示しており、筋力低下や関節可動域の減少を最小限に抑えることが一番の目的です。

 

当院でもその方針で施術に取り組んでおりますが、患者さんがまず理解しなければいけないのは、痛みの消失=損傷が治った・機能を回復したではないということです。捻挫や肉離れなどは、強固な固定をしなくてもある程度の施術技量があれば痛みは大幅に軽減できるし歩行も出来るようになります。しかし、これで後は何をしてもいいということではありません。

まず損傷の程度により安静のメリットとデメリットを天秤にかけます。もちろんスポーツ活動で急を要する場合などはそれらも考慮します。安静は回復に時間がかかることはありますが、動物に備わった非常に有効な手段です。極急性期の炎症では安静が必要で、ある程度の回復期になれば運動を始めます。ここでいう「動かしながら治す」というのは無理に動かしたり過剰に安静にする必要はないということです。一定期間の安静であれば筋力低下は考慮する必要も無いし、ギブスなどの固定でなければ循環障害によって回復が大きく遅れることはありません。スポーツ活動を再開する場合はテーピングやサポーターなどで補強することも場合によっては必要でしょう。

 

特に急性の損傷は患部周囲の”固有感覚”というものが低下します。固有感覚とは、現在の自分の姿勢(位置・方向・強さなど)を感知し適切に脳に知らせる役割をしていて、軟部組織が回復してもこのセンサーの回復は時間がかかる場合も多いです。少々我慢して動かすことで固有感覚も回復するのでは?と思うかもしれませんが、回復するまでに他の部位に機能障害を増やしてしまうことも考えなければならないのです。

 

怪我をする⇒痛みを取ってもらう⇒動く⇒怪我をする⇒痛みを取ってもらう……この繰り返しに満足している方は”予防”の概念に乏しく、将来的に起こりうる結果が想像できていない(施術者に教えてもらっていない場合も)。なぜ怪我が起こったのか?痛みはどうして起こるのか?筋力不足?筋膜の問題?疲労?使い方?それとも…。

 

 

専門知識の無い患者さんを惑わす様な言葉を使って誘い込むやり方にとても腹が立ちます。治すことが出来るのは患者さんの身体のみであり、我々はそのお手伝いをしているにすぎない。どうしてもの場合を除き、痛みの本来の意味を理解し、”予防”の概念を患者さんと共有することが現代医療の足りない部分を補完する代替医療者としての使命であると考えます。